私はひとりでいるからこそ、噂話などはよく耳に入ってくるので、きっと間違いはないはず。


いったい彼はどこへ行ってしまったのか。


皆の心の中で、ただそれだけが支配していた。


皆が混乱する中、ささいな情報でも得ることができたら先生に伝えてほしい、というあまり希望のない一言で、朝のホームルームは幕を閉じた。


ホームルームが終わるも、いつもの賑やかさはなかった。


はたまた次の授業の準備をしようとする生徒もいない。


皆が皆、呆然と立ち竦むばかり。


当たり前のように教室にいた存在。


大切な級友。


それがたった1人とはいえど、欠けてしまったのだ。


自分たちの身にそんなことが降りかかるだなんて思ってもいなかった私たちは、もうどうしたらいいかなんて、考えることすら出来やしない。