「たまには気分転換にこういうのもいいだろ?」


一緒に行こうぜ、と嬉しく笑う三枝くんに、私もまたつられて笑顔になった。


私のことまでちゃんと考えてくれていたなんて。


…と、同時にある一つの疑問が頭に浮かぶ。


「三枝くんは小さいから、入場券なくても入れるんじゃない?」


「ああ、なるほど!」


じゃあ動物園でも水族館でも入り放題じゃん、と三枝くんが『一寸成就』特有の独特な幸福に顔をほころばせながらも、私たちはテーブルの上の2枚のチケットに目を移す。


1枚は私が使うとしても、あと1枚がどうしても余ってしまう。


けれど、せっかく三枝くんが頼んだものだから、使わないとか捨てるなんていうような無駄な行く末にはしたくない。