そんなある日のこと。
「今日は新月なんだって」
起きるなり、三枝くんが嬉しそうに言ってきた。
「そうなんだ、もう折り返し地点だね」
早いなあ、と思うと同時に、走馬灯が駆け巡る。
私が小さい三枝くんと出会ったのは、彼が小人化してから1週間ほど経った後だったから、ひょっとしたら小さいままでひとりぼっちでいた頃の方が長いのかな。
もう少し早く見つけてあげれば良かったな。
こういうときに限って、周りに注意が出来ない。
だから友だちも出来ないのかな、なんて意味の分からない理屈ばかりを並べ、はあ、と後悔のため息を1つ落とす私に、また嬉しそうに笑う三枝くん。
どうしてそんなに笑顔なんだろう、と疑問に思い、首をかしげた。
するとまた、嬉しそうに笑う三枝くん。