なんて心配になる私の気持ちとは裏腹に、電話内の会話はどんどん進む。
「ちょっといろいろあって、帰れなくなったんだ…ごめん」
『いろいろ、って?』
「…それは、言えないけど」
『私に言えないほどのことなの!? ……まさか、危ないことしてるんじゃないでしょうね!?』
変な組織とかやめてよ?、なんて少し冗談っぽいようなことも言っている。
三枝くんも、笑いながら言葉を返す。
「それはないって。ちゃんと無事に日々を過ごしているから、あまり心配しないで」
『そう? なら、いいけど。私は一応紘の母親なんだから、悩みでも不安でも、何かあったらちゃんと言いなさいよ?』
「ああ、分かったよ」
『じゃあね、帰ってくるときは連絡しなさいよ? …あと、お叱りの覚悟も決めておくことね』
「うん、本当ごめん…」