ただのクラスメート。


それだけ、それだけなんだ。


小さくなってしまった君を拾ったのがたまたま私だっただけ。


もし見つけたのが逢坂くんとかだったなら、きっと私なんかよりもっと楽しい生活が出来ていたのかな。


2人は仲がいいし、私なんかよりずっと三枝くんのことをよく知っている。


行きたいところや食べたいもの、感情や思いまで。


悲しみの気持ちが増えていくにつれて、歩く速度も落ちていく。


やがて私の足は、重く固く動かなくなってしまった。


「どうした?」


私のことを心配してくれているような声が聞こえる。


優しくて、暖かい声色。


「ううん、別に…」


その声を、表情を、私なんかが暗くさせてはいけない。


何でもないように振る舞わなければいけないんだ。


止まった足をどうにか動かし、また一歩一歩と歩き出すのだった。