そしてまた、時はまばたきをするように過ぎて行き、気づいた頃にはもう既に放課後。


楽しい時はあっという間に過ぎていくものなんだな。


ここ数年間味わったことのない感情に、良い意味でも悪い意味でも、心も体も支配されてゆく気がした。


「なあ、お前っていつからハルと知り合いなの?」


胸ポケットから顔を覗かせ、嫉妬とも捉えられる表情で私に尋ねた三枝くん。


ハル、とは逢坂くんのことで間違いないはずだ。


尋ねてくるということは、親友を取られるって心配になったのだろうか。


けれど、三枝くんが心配する様なことは何もない。


なぜなら、私の人見知りが克服されたわけではないのだから。


「まともに話したのは今日が初めてだよ」


「ふーん」


私の答えに納得しているのか否か、そもそもどうして急にそんなことを聞くようになったのか。


私と三枝くんは別に友だちだというわけではないのに。