「あと、実はそれだけじゃなくて…」
突然話を切り出す逢坂くん。
他にも何かあるのだろうか。
「香澄(カスミ)っていう…「ああ、もういいってば!」
えっ…!?
途中から三枝くんのような声が聞こえて、もしやと思い、胸ポケットを見ると、三枝くんが身を乗り出していて、今にも落ちそうな様子。
両手でお皿の形を作ると、ひょいとそこに飛び乗る。
ゆっくり私たちのベンチに下ろせば、ありがと、と短い感謝をくれる。
「俺の話はもういいって! 聞いてるこっちが恥ずかしいっての!」
「起きてたのかよ!ってか、どこから聞いてた!?」
「んー。お前が鳴海の弁当をもらって食べているところあたりから? 仲良さそうにいちゃいちゃしててさ、まじイラっときたね」
「なんで?羨ましかったのか!?」
「はあ…!? そ、そんなわけねぇだろっ!」
お弁当…って、結構最初の方。
だとすると、話は全部聞いていたのかな……と思うと同時に、苛立たせてしまったことに申し訳なく思う。