「…そういえば、今日紘は?」
昼食を食べ終わり、思い出したように逢坂くんは言う。
三枝くんのことなんて正直すっかり忘れていた私は、慌ててポケットを覗き込む。
すると、まぶたを閉じてすやすやと眠る三枝くんの姿があった。
「寝てる…」
「そっか。相変わらずのんきなやつだな」
じゃあ、と逢坂くんは話を切り出す。
「聖のこと、気になっていただろ?」
聖…その名前を聞いて、今一度思い出す。
三枝くんが機嫌を悪くした言葉だ。
聖について知ることが出来たら、私と三枝くんの間で何かが変わる気がして、思わずこくりと頷いた。