はじまりは次の日。


普段のように朝のホームルームを行なっていたときだった。


先生がいつもよりもはるかに深刻そうな表情で、教室へと入ってきた。


「どうかしたんですかー?」


クラスメートの誰かがそう尋ねる。


すると先生は、実はな、と悲しみと絶望の表情で答えた。


「三枝が行方不明らしいんだ」


「えっ」


瞬間、私たちクラスメートの短い悲鳴が重なる。


それはもう、驚くなんてレベルことじゃなかった。


「紘の身に何かあったんですか…?」


恐る恐る聞いたのは、三枝くんと仲の良かった男子。


「詳しいことは俺にも分からない。今朝、三枝のお母さんから連絡があって、昨日の夜から家に帰っていないそうだ。連絡もとれないらしい」