「今日なんだけどさ、よかったら一緒にお昼食べないかと思って」


「えっ」


いくら三枝くんのためだと分かっていても、コミュニケーション関係に疎い私にとっては、ついうぬぼれてしまうところがある。


これも友だちができない一つの理由だ。


「じゃあ4時間目の授業が終わったら、また鳴海の席に来るから。その時はよろしく」


「うん、またね」


さりげない約束でさえ、つい笑みをこぼしてしまう。


「…だって、三枝くん。私にもおはようって言ってくれる人はちゃんといるんだよ」


嬉しくなって、つい独り言のようにつぶやいてつぶやいた。


それが本人に聞こえているのか否か、彼が言葉を返す事はなかった。