「着替え終わったよ」


この間のように部屋の外で待っていた三枝くんに、私は声をかける。


今日は三枝くんがいるせいか、いつもより身だしなみに気を使ってしまった。


髪は何度も癖がついていないか確認し、制服も変じゃないか念入りにチェックした。


「おう、じゃあ行くか」


なんて私の背伸びには気づくはずもなく、早くポケットに入れてくれとでも言うように、両手を上に高く上げ、まるで高い高いをしてほしい赤ちゃんのようなたたずまいの三枝くん。


それを当然のことながら受け入れてしまう私も、この非日常に慣れてしまったのかもしれない。