「すまないな、何も力になれずに」
申し訳なさそうな表情で、晴継さんは私の目を見る。
「謝らないでくださいよ。晴継さんの話を聞けただけで、かなり助かりました。お忙しい中、本当にありがとうございました」
「何かあったらまた来てくださいね。小春も待っているから」
「ちょっ! 俺は……別に」
「ふふっ、照れちゃって」
「もううるさいなぁ!」
美晴さんのからかいに赤面で答える逢坂くん。
この1日だけで、かなりの照れ屋なんだと分かり、とても微笑ましく思える。
「じゃあな、ハル」
頭の上から出ようとする三枝くんに、逢坂くんは送ってくよ、と声をかけた。
「えっ、いいよ別に。俺は鳴海と帰るから」
靴を履きながら、私は晴継さんと美晴さんにお辞儀をする。
「だから心配なんだろーが! 鳴海は女子なんだぞ!? お前が変なことしないようにちゃんと見張っててやらないとな」