「でも大丈夫だったんですか? 急にいなくなったりするなんて」
「そりゃあ大丈夫なわけないさ。いくら小さな町とはいえ、皆の生活を守るために毎日が忙しかったのだからな」
「本当ですよ、あの時は私にまで仕事が回ってきて毎日が辛かったんですから」
また勝手にいなくなったりしたら許しませんからね、と美晴さんは文句を言う。
それでも、怒りから垣間見える微笑みは実に優しいものであった。
「小さくなってまでお願いしたかったことって、何だったんですか?」
私は晴継さんに質問する。
それが一番聞きたかったことだ。
小さくなるということは、何も楽しいばかりではない。
いつものように学校や仕事にいけなくなったり家族や友だちなどという大切な人とも会えなくなったりするだけでなく、万が一どこかで事故や事件に巻き込まれてしまっても気付いてもらえないかもしれないのだ。
そんなリスクを犯してまで、叶えたかったお願いとは一体何なのだろう。
息を飲み、その答えをじっと待つ。