皆揃ったところで、私たちはようやくお話を聞けることに。


さっきの女性…もとい、晴継さんの娘さんで逢坂くんのお母さんの美晴(ミハル)さんは、私にとおいしそうなお菓子をお皿いっぱいにくれた。


三枝くん用に小さく切り分けたクッキーのお菓子も。


本人はそれを逢坂くんの頭の上で食べている。


逢坂くんはテレてはいるものの、久しぶりに三枝君に出会えたことの喜びで、今日ばかりは許してくれているようだ。


「いやー懐かしいなぁ。『一寸成就』か、私も小さくなった時期があったもんだ」


「確か10年ほど前ですよね。新聞記事で見ました」


10年前の5月22日。


逢坂 晴継さんは、突然失踪した。


当時は町長でもあったために、周りは大パニックになったという。