「おお、君か。私に聞きたいことがあるっていう人は」


少しシワが増えてはいるけどけれど、さっき見た10年ほど前のあの記事とほぼ変わらない顔。


身長も歳のせいか少し猫背気味だが、私と同じくらいで、とても『一寸成就』の経験があるとは思えない。


「えっ! じいちゃんに用がある!? 鳴海が!? なんで!?」


困惑する逢坂くんに、女性はにこやかに説明する。


「ふふっ。まあ正確には、そこの坊やよね?」


「坊や、って……まさか!」


全てを悟った様子の逢坂くんは、私の方へ目を向ける。


いや、正しくは私のそばにいる小さな親友、かな。


「久しぶりだな、小春」


「だからその呼び名は………って、紘!?」


「はは、君も『一寸成就』中なんだね」


三枝くんが皆に姿を見せた瞬間、驚く逢坂くんと冷静に笑う晴継さん。


同じ家族でも反応が真逆で、つい笑ってしまう私だった。