「じゃあ、今日一緒にご飯を食べない?私の家で」
「はっ!? でも、俺はもう元に戻って…」
「いいの、三枝くんなら。お母さんやお父さんにも紹介したいから」
「紹介って…つまりは、その、そういう…」
あたふたと動揺を隠せない三枝くんに、私はまた笑みをこぼす。
本当、三枝くんで良かった。
何もかもが。
駅を過ぎ、見慣れた道を並んで歩いた。
いつもなら胸ポケットの中にいるのに、今日は隣で手を握っている。
そこから感じる体温に、嬉しくも、違和感を抱いていた。
なんだか、変な感じ。
「ねえ、三枝くん」
「ん?」
名前を呼べば、返事をしてくれる。
どうかしたのか、と私を思ってくれる。
こんな幸せが来るなんて、あの日の私は思っていただろうか。