あの時は何の根拠もなかったけれど、今の私は神様はいると信じている。
三枝くんに一寸成就をさせたのも、小さな彼と巡り合わせてくれたのも、全部運命だから。
遊園地の観覧車、ハート型のゴンドラ。
この場所を一時的に記憶が戻る場所として選んだのも、神様の気まぐれな運命。
ロマンチックないたずらに、私たちは振り回されていくしかないのだ。
…でも、たまにはそんなのも悪くないよね。
三枝くんの暖かい腕の中で、緊張が高まるこの瞬間。
彼はとうとう口を開いた。
「鳴海が、幸せに過ごせますように」
「……っ」
私は驚きのあまり声も出せない。
聞き間違いなのだろうか、と疑ってしまうほどの衝撃が来たのだ。