すると案の定、話し終えた私に、おばあちゃんはある話を聞かせてくれた。
「『一寸成就』?」
「そうやぁ。お前さんの体もきっとそのせいじゃろう」
ちゃぶ台の上の三枝くんになごやかに微笑みかける。
「昔から言い伝えられとることがあるんじゃ。結子が住む地域にはある神様が宿っておってな、身長と引き換えに願いを1つ叶えてくれるらしい」
「願い…」
お茶で一呼吸おき、再び語り出す。
「とは言っても、本当に一寸になってしまったとはな。私も小人を見るのは初めてだわ」
「でも、神社なら私毎年お正月に行ってるけど、何も起こらないよ?」
「それはそうじゃろう。『一寸成就』が起こるのは、皐月の満月の日、黄昏時だけと決まっておるのだから。思いが強い者だけ、一寸になることが出来るのじゃ」
強い思い…。
三枝くんは一体何をお願いしたのだろう。
目の前でどうにかこうにかせんべいを食べようとしている彼を見て、ふとそんなことが気になった。