顔をぐちゃぐちゃにして、手も涙だらけで。
どうしようもないくらい、泣き果てていた時だった。
後ろから暖かくも優しい圧がかかるのを、背中いっぱいに感じる。
また抱き締められているんだ、と分かった瞬間に鼻をくすめたのは、さっき嗅いだ匂いで。
授業中だというのにもかかわらず、追いかけてきてくれた優しさに、また涙が溢れ出す。
「鳴海、ごめん」
謝らないでよ、君は悪くない。
声に出ないまま、心で消えてゆく。
もう何も、分からないんだ。
自分自身のことも、三枝くんのことも。
何の謝罪かも、それに対しての私の気持ちも…。
「…なあ、少し話したいことがあるんだ。今から来てくれないか?」
だけど私は、なぜだかその言葉だけは素直に頷くことが出来た。