追いかけてこないのは、きっと授業が始まるせいなんだ、って頭に思い込ませる。
そうでないと、苦しくて、切なくて、立っていられないほどに辛くて。
だってもう……三枝くんが元に戻ってしまったのなら、私は彼の一緒にいる意味も、資格もないんだ。
クラスメートたちに囲まれて、真ん中で楽しそうに笑っている方が、三枝くんにはよく似合うんだよ。
一寸成就が終わった今、もうただのクラスメートだけの存在になっちゃったんだよ、私たちは…。
「う、ああっ……」
階段で立ち止まり、そのまま泣き崩れた私は、改めて三枝くんの大切さを実感した。
初めて一緒に昼食を食べた時は、軽くて、ちゃらちゃらして、なんだか苦手なタイプだと思っていた。
けれど、この一寸成就を通して、三枝くんの良さが分かったんだ。