「…あの、実はね」
そこまで言いかけて気付く。
この件には、逢坂くんの告白も絡んでいるんだということを。
つまり、私がお母さんや三枝くんに返事の相談をしていたことがバレてしまうということだ。
ど、どうしよう…。
それも含め、全てを言ってしまっても良いのだろうか。
と、またさらに悩みは悪化するばかりの私が、泣く泣く出した結論は──。
「実はね、昨日三枝くんといろいろあって、喧嘩…というか、言い合いになっちゃったんだ」
『いろいろあった』という便利な言葉に任せて伝えたけれど、これだけで逢坂くんは分かってくれただろうか。
「言い合い、ねえ…」
衝撃、といった様子で目を大きくさせ、私のほおから手を放す。
「まあいいや、歩きながら話そう」
ね、と優しく笑みを浮かべる逢坂くんに、不思議と安心感を抱いていた。