特別苛立つような何かを言われたわけでも、何かをされたわけでもない。
そもそも、私は三枝くんに対して怒っているわけじゃないんだ。
なら、私は一体どうしてしまったのだろう。
「ご、ごめん…今日はもう寝るね」
自分勝手に話を切り上げ、三枝くんから逃げ出した。
電気を消して、布団にもぐれば、そこはもう闇の世界。
何も見えない、何も聞こえない。
三枝くんの表情も、声も、思いも。
聞きたくない、知りたくない。
全部私が悪いのだから。
カーテンの隙間から日差しが溢れている。
今日もまた朝がやってきた。
目をこすりながら体を起こすと、真っ先に目に入ったのはあのドールハウス。