「ところで紘は?」


さっきから見当たらないけど、と逢坂くんが尋ねれば、どこからか三枝くんの苦しそうな声がする。


「うぅ……助け、て」


声のする方に目を向ければ、聖くんの左手の中で、潰れそうになっていた。


「ちょっ、聖…! 紘がっ!」


逢坂くんが慌てて救出すると、荒い息を整えながら、苦く笑みをこぼして、訳を話してくれた。


「いや、あのな。香澄と話してたら、聖のやつが昼寝から起きて来やがって。俺を見つけるなり、人形か何かだと思ったのか、真っ先に飛びついてきてさ。香澄も香澄で、面白がってただ笑ってるだけだし…もう死にそうだった」


本当にやばかったんだぜ、と笑いながら話してくれる君は、どこか嬉しそうで。


きっともう、聖くんのこともちゃんとけりがついたってことかな、と私まで嬉しくなる。