「…さっき、鳴海言っただろ? 紘に大切な人について尋ねられたって」


真剣な表情で、私の視線を捕まえる。


普段優しい彼が、急に男らしくなったような気がして、胸の高鳴りを抑えることが出来ない。


「う、うん…」


「あいつのことを完璧に知ってるわけじゃないから上手くは言えないけどさ、紘は紘なりに、その答えを探そうとしてるんだよ。

もがいて、あがいて…ゴールがいつか、そこにあるものは何かなんて分かりっこないけど、辿り着けた時、あいつの中で何かが変わるはずなんだ」


「変わる…」


「そう、だからそれまで待ってやってよ。きっとこの一寸成就だって、心のどこかで望んだ運命なのかもしれないからさ」