うーん、と唸ってみるが、そんなの私に分かるはずもなく、ただ逢坂くんに不審がられただけ。
「大丈夫か?何か考え事しているようだけど…」
足を止め、私の顔を覗き込む彼。
急に目の前に現れた顔があまりに綺麗で、私は後ずさりしてしまう。
「ご、ごめん。私なら平気だから…!」
「そうか? なら、いいけど。あまり無理はすんなよな」
優しく微笑みかけ、私の頭を撫でた。
その仕草に、より体が固まっていく。
不思議、この感覚…。
初めて味わう変な感情に、胸が高鳴りをあげる。
そうだよね、逢坂くんだって男の子なんだ。
私より大きいし、私よりたくましい。
それに、逢坂くんはクラスメートからの評判も良く、皆に好かれていて、とても人気で。
容姿だって格好良い方だと思うから、さっきみたいなことをされて、驚いてしまうのは普通だよね。
彼だって、きっと私にだけ特別扱いをしているわけじゃないはずだから、変に動揺する必要はない…はず。
よし、と気合を入れ直し、逢坂くんの後をまた追った。