確かに一緒にいて楽しいし、もちろん好きだから付き合ってる。
だけど、その『好き』が小春や他の友だちに感じるものとあまり変わらないって、薄々気付いていたんだ。
そんな時に、2年生になって環境が新しくなった。
小春や香澄がいて……鳴海に出会った。
いつもの日常に、違う色が入ってきたんだ。
授業中も、休み時間も、お昼の時でさえも、自然と視界に入ってきて。
だからこそ、昼くらいは鳴海のことを考えないようにしようと思って、香澄が待つクラスで食べることにしたのに…。
あの日、香澄が休んだ日。
小春たちと飯を食べようと思って教室に入ったら、鳴海が1人ぽつんと寂しげな表情を浮かべながら弁当を食べていたんだ。
そんな切ない姿に胸が締まった俺は、いてもたってもいられなくなって、気付けば声をかけていた。
「鳴海、今日はひとりで飯食ってんのか」
その言葉が、俺自身を変えるきっかけとなり、全てのはじまりだった。