次の日、香澄は面と向かってもう一度告白してくれたよね。
嘘じゃないんだって実感して、俺に初めての恋人が出来た。
それから、いろいろな場所にデートしに行ってさ。
一番最初は何だっけ?
なんて、忘れるわけもない。
恋愛ものの映画っていう、定番すぎるデートだったもんな。
人気があったやつだけに想像以上に面白くて、あと3回は一緒に見たよね。
他にもたくさん出掛けてさ、『青春』ってこういうことを言うんだなって、すごく楽しかった。
…でも、俺は香澄を彼女だとは思えなくて。
告白された瞬間からずっと、好きだと思ったことは一度もなかった。
始めは、好きって言われて嬉しくて、俺も徐々に好きになっていくんだなと思っていたけど、そんなことなかった。