「香澄、ごめん! 俺…」


「うん、知ってたよ」


言いかけた言葉が分かっていたように、香澄は口を挟む。


それは予想外のもので、俺を驚かせるには十分だった。


「1年のときから私たち付き合っていたけどさ、同じクラスになってから、よく鳴海さんの方を無意識に目で追っているような気がしてた」


「まじで…?」


「まじまじ! 好きな人の目線の先なんて、すぐに気付いちゃうんだから」


まったく、となんてことないように言った香澄に、俺は目をぱちくりさせる。


「…今、好きな人って」


それって、もしかして俺のことなんだろうか。


香澄が俺を好きだったということだろうか。


ゴクリ、と息を飲み込めば、香澄は笑って答えてくれた。