ずんずんと進んでいく逢坂くんと、それについていく私と三枝くん。
出発地点でもある私の家から、かなり歩いたけれど、未だにどこへ行こうとしているのかが分からないまま。
むしろ、知らない街中へ来ているような…。
逢坂くんは一体、何をしようとしているのだろう。
なんて疑問を浮かべながら、ただその大きな背中を見ていた。
「着いたよ」
そんな逢坂くんの声が聞こえたのは、家を出てから30分ほど経ってからだった。
彼が差した指先は、とあるマンション。
いや違う、ここは……。
「俺、の家…」
上着のポケットに入れていた三枝くんの口から、自然と言葉がこぼれていた。