「あ、おかえり」


再び玄関へと戻ってくると、逢坂くんが明るい笑顔で迎えてくれる。


「連れてきたよ、三枝くん」


包み込んだ手のひらをふわっと開くと、不思議そうに逢坂くんを見つめる三枝くんの姿が露わになった。


「よし。じゃあ皆揃ったことだし、行こうか」


「えっ、結局俺はこのままでいいってことかよ!?」


逢坂くんの笑顔に、よく分からない様子の三枝くんが尋ねる。


「当たり前だろ? 紘がいなきゃ、何も始まらないんだからな」


「…はぁ?」


三枝くんのつぶやきとともに、私たちは歩き出した。


彼が納得行かないのも無理はない。


かくいう私でさえ、考えが見えていないのだから。