そんなに恥ずかしがらなくていいのに。


クラスメートの女子とメールするなんてこと、逢坂くんなら普通でしょ?


むしろ私の方が緊張するよ。


お父さん以外の男の人と連絡のやりとりをするなんて、メールや電話どころか、連絡先さえ持っていなかったんだから。


そしてなんだかんだでそのまま別れ、私は家に入り、二階の自分の部屋へ駆け込んだ。


鞄のチャックを開け、クリアファイルを取り出す。

「あ、あった」


そして『数学 週末課題』と書かれた一枚のプリントを出し、ケータイのカメラにおさめた。


連絡先のところへ画面を持っていき、逢坂くんの名前を探す。


あれ、ない…。


一瞬戸惑ったが、まだ登録をしていなかったことに気付いて、アドレスの書かれた紙を思い出す。