それから放課後になり、いつものように逢坂くんと下校する。
これが日常化してきたことに、嬉しさを感じつつ、申し訳ない思いもある。
私なんかと帰って大丈夫なのかな。
そういえば以前、テニス部の部長だって聞いたけど、部活に行っているのかな。
不安や心配もあるけれど、それを尋ねてみてもいいのか、というためらいには勝てず、ただうつむいて黙ってしまう。
「そういやあ、明日の数学って宿題の提出日だっけ?」
そんな私の思いに気付くはずもない逢坂くんは、課題の話をしてくる。
きっと気を使っているんだ。
私が自分からいろいろ話すのが苦手だって知っているから。
「そうだよ。確かワークと……プリントもあったよね」
「えっ、プリント!? まじか、聞いてないんだけど」
いつ貰ったやつ?、どんなやつ?、とバッグを漁りながら探す彼。
まるでなんでもないような日常が、そこにはあった。