家族だと思っていた人たちが家族じゃなくて、恋人だと思っていた人が実は家族で。
そんな衝撃的なことが、一気に彼の身に降りかかったのだ。
私だったら、きっと何も受け入れられなかっただろう。
誰の言葉も信じられず、ただわけもわからなくなっている気がする。
じゃあ、三枝くんならこの状況をどうする?
私は信じてるよ、きっと乗り越えてみせるって。
どんなときでもまっすぐに生きてきた彼だから、誰に対しても素直な彼だから。
「ねえ、2人とも。少し紘くんと2人にしてくれない?」
ただ三枝くんの顔を見つめて言い放った鈴村さんに、私と逢坂くんは深く頷く。
頑張れ。
そんな思いを込めて、小さな背中をそっと押した。