「そういえば、遊園地のことじいちゃんに聞いたんだけどさ…」
お昼の時間になり、いつものようにテニス部の部室へお邪魔させてもらった。
そしてお弁当を食べながら、思い出したように逢坂くんは言う。
遊園地のこと。
そう聞いて、何かあったっけ、と首をかしげる。
「『一寸成就』だよ。観覧車の中で紘を説得してる時、俺が昔の話をしたじゃん? その時にじいちゃんがなぜか『一寸成就』の願い事を覚えてて、不思議だなぁって言い合ったやつ」
「ああ、そのことか…!」
彼が詳しく説明してくれたおかげで、ようやく私も思い出した。
確か、その願い事は……。
『そりゃあ俺だって、家族とぶつかったりすることもあったさ。だけど、この前遊園地に来た時にじいちゃんが言ってくれたがあって…』
『言葉?』
『ああ。「一寸成就」で願ったのは……がいつまでも………………ことなのにな、って』
私の中にある記憶はそれだけだった。