昨日の遊園地もそう。
行くなら三枝くんと2人の方が良かったとか、私がいたから楽しくなかったとか。
彼は優しいから声に出さないだけで、本当は心のどこかでそう思っているに違いないって、今も疑ってしまうんだ。
だけど、違う。
私は隣で歩く逢坂くんに視線を移す。
ただまっすぐに空を見つめ、もう少し晴れていたらなぁ、なんて独り言をつぶやいている。
すると私に気付いたのか、逢坂くんはこっちに澄んだ目を向けた。
「な、何? 俺、変な顔してた?」
「ううん、ただ気になっちゃって…」
「気になる?」
「逢坂くんの、本当の目線の先が」
首を傾げる逢坂くんに、私は笑顔で答えを濁した。
「やっぱりなんでもない」
いいんだ、そんなのは。
答えなんて分からなくても、見つからなくても。
締め切りなんてないのだから、ゆっくり焦らず探せばいい。
今日は、その相手が一人増えただけ。
何も心配しなくても大丈夫。
だって、いつもの日常に少しの勇気を足すだけで、こんなにも世界の色が変わるのだから。