「あっ、ごめん! すっかり忘れてて…多分昨日の服のポケットにまだ…」
申し訳ない思いで告げると、逢坂くんはたちまち安堵の表情を浮かべた。
「あ、ならいいんだ。ちょっと心配になっただけで」
「今度からはちゃんと連絡するから、三枝くんのこと」
「いや、別に紘に限ったことじゃなくても…」
「えっ?」
どうしてそんなことを言うのだろう。
昨日連絡を渡してくれた目的は、三枝くんのこと以外に何かあるっていうの?
そんな疑問は、私の気持ちを察してくれた彼の一言によって解決する。
「鳴海と、もっと話したいんだよ」
切なそうな目を向けて、ただまっすぐにそれだけを言った。