待って、行かないで!
「…はっ」
その瞬間、私は目を覚ました。
全身から汗がびっしょりと出ている。
どうやら、私の思考はいつの間にか夢へと変わっていたようだ。
ふと窓に目を移せば、カーテンの向こうから今にも飛び出してきそうな大量の日差し。
そっか、朝になったんだ。
上手く回らない頭を無理やり働かせて、私はベッドから立ち上がる。
カーテンを開け、ドールハウスを覗いた。
三枝くんはもう起きているのだろうか。
二階の小さな寝室には、毛布に包まった彼。
まだ寝ているみたい。
寝顔可愛いなぁ、なんてまじまじと見つめると、瞳の近くに涙のあとがうっすらと滲んでいるのに気付く。