小さくて大きい、曖昧だけど確かに存在している心が、私に問いかけるんだ。
──あなたにとって、本当に大切な人は誰?
三枝くんとまったく同じ質問。
でも、さっきとはまた違った心の刺さり方をして、胸の奥がもやもやと変な感じになる。
大切な人…。
目を閉じると、暗闇の中で私を呼ぶ声がする。
まだ遠くて誰かの判別は出来ないけれど、その姿を見つけただけで、不思議と心が安らいでいく。
そばにいたい。
嫌われたくない。
楽しい時間を一緒に過ごしたい。
──そんな相手は?
相手、は………。
もう少しで届きそうなのに、どんなに手を伸ばしても、その人は私の思いに気付くことなくどんどん遠ざかってしまう。