大切な人…。
三枝くんが寝てからも、私はずっとそのことを考えていた。
三枝くんの言った『大切な人』って、誰なんだろう。
家族? それとも、鈴村さん?
いや、考えたって分からない。
だって私は三枝くんじゃないのだから。
三枝くんの思いは、三枝くん本人にしか分からないんだ。
じゃあ、私にとっての『大切な人』は誰なんだろう。
『2人は私の大切な家族。
何があっても、ずっとそばにいたい。』
さっき、両親に対してなんとなくそう感じた。
確かにそれは間違いじゃないのだけれど、言い切ってしまうことは出来ない気がする。
うまくは伝えられないが、胸の奥にもやもやとしたものが存在しているのだ。
なんて言うか、本当の私を表しているような、そんな感じ。