どのくらい辛かったのかな。


いや、きっと私なんかじゃ理解出来ないだろう。


家族が家族じゃなかったなんて、想像もつかないのだから。


部屋に着いて、胸ポケットから三枝くんを出す。


小さなその目は、深く閉じていた。


まだ寝ているのかな。


今日はいろいろと大変だったもんね。


遊園地に行ったり、久しぶりの家に帰ったり。


疲れているのなら無理はない。


私は三枝くんの体を優しく包み込み、そっとドールハウスへと運ぶ。


すやすやとしたその寝顔は、不思議と私をほっこりさせた。


さっきまでの緊迫感も嘘のように。


「さて、私は宿題をやらないと…」


部屋着へと着替え、数学のワークとともに机へ向かう。


椅子に腰掛けると、今日の分の疲れがどっと体に押し寄せる。


休日は普段あまり家から出ることのない私だから、その分、他の人よりきっと何倍も疲労がかかったのかもしれない。