『お母さん』という言葉に、なんだか胸がきつくなる。
「男の話し声聞こえたが、彼氏でも出来たのか?」
お父さんの素直な質問に、不意に顔が高揚していく。
「何言ってんの、お父さん! そういうことは、結子が話してくれるまで待つに決まってるでしょ」
「あ、そうだったな」
普段は威厳を持っているけれど実は天然気味なお父さんと、明るく元気な優しいお母さん。
2人とも本当に良い人で、ある意味、本当に私と血が繋がっているのかなって疑ってしまうくらい。
だけど、2人は私の大切な家族。
何があっても、ずっとそばにいたい。
だからこそ、三枝くんはショックなんだろう。
信じていた母親が、大好きだった母親が、本当のお母さんじゃないと知って。