「本当に大丈夫か? 俺暇だから一緒にいてあげてもいいけど…」
三枝くん家からの帰り道。
紳士的な逢坂くんは、いつものように私を家まで送り届けてくれた。
「ううん、平気。上手くやれるか分からないけど、私なりに頑張ってみようと思って」
「そっか」
逢坂くんは、私の胸ポケットの中で気を失ったように眠る三枝くんの頭を、人差し指で優しく撫でた。
「じゃあ電話番号渡しておく。何かあったらこれに連絡して」
さらさらと、メモ用紙に電話番号とメールアドレスを記入して、私に渡してくれた。
「えっ、でも…」
「いいから。貰うだけ貰っておいて。じゃないと俺も心配だから」
紘が目を覚ましたとき、鳴海に何するか分かんないからな。
冗談めかして笑う彼に、つられて自然と笑顔になる私。