「そうだよ、俺は2人に文句がある」
さっきの柔らかな雰囲気とは打って変わり、鋭い心の槍を飛ばす。
「どうして最近冷たいの?」
「えっ…」
「………」
そんなつもりはない、と目を伏せる母親。
くだらない、と貫禄の父親。
「聖が産まれて、可愛いのは分かるよ。だけど俺も一応2人の息子な訳で…2人にその気はないのかもしれないけどさ、なんかひいきされているような感じになるんだよ」
「………」
「家に帰ってきても、何も言葉をかけてくれなくなった。体育祭にも文化祭にも来てくれない。聖で忙しいのは分かるんだけど、あからさますぎるっていうか、こんな俺でも傷つくっていうか……」
言えば言うほどに、声色が暗くなっていく。