「何に怖がってんだよ、お前は。家族なんだから、本音で語り合えなくてどうする」
「………小春」
「小春じゃなくて、ハルな? まあいいけど。そりゃあ俺だって、家族とぶつかったりすることもあったさ。だけど、この前遊園地に来た時にじいちゃんが言ってくれたがあって…」
「言葉?」
私が聞き返すと、逢坂くんは頷く。
「ああ。『一寸成就』で願ったのは家族がいつまでも仲良くいられることなのにな、って」
「『一寸成就』…」
そっか、そういえば逢坂くんのおじいさんって晴継さんだったね。
あれ、でも…。
「『一寸成就』の願い事って、思い出せなかったんじゃ…」
「あ、確かに。じゃあどうして俺知って…」
頭を抱えて悩み始める逢坂くん。
家族がいつまでも仲良く…。
なんて素敵だなぁ。
三枝くんは何を願ったんだろう。
まあ後で聞いてみればいいか。
私たちの不思議な日常は、まだまだ続くのだから。