「では、お次の方どうぞ」
スタッフの方に案内され、私たちはゴンドラに乗り込む。
私と逢坂くんは向かい合うように座り、三枝くんを椅子に下ろす。
ガタン、と音が聞こえ、扉の閉まった観覧車はゆっくりと上がり始める。
この上にはどんな景色が待っているのか。
そればかりが楽しみで、三枝くんの瞳の奥にあるものなんて考えもしなかったんだ。
「あ、見て。さっきのお化け屋敷だ」
逢坂くんが、窓から見える黒い建物を指差して言う。
少し上まで行くと、遊園地全体が見渡せる広さになった。
お化け屋敷だけじゃない。
ジェットコースターも、喫茶店も。
同時に、さっきの思い出が走馬灯のように駆け巡る。