もしかしたら三枝くんは、鈴村さんと一緒にこれに乗りたかったのかな。
付き合ってるんだもんね。
全然知らなかった事実に、驚きと悲しみと、よく分からない感情がぐちゃぐちゃに入り混ざっていた。
「一番上まで行ったら、俺の家も見えるのかな」
逢坂くんは、好奇心旺盛な笑顔で私に問いかける。
「多分見えるよ。私が子供の頃乗った時も、自分の家が発見できてとても嬉しかったんだ」
「へえ、楽しみ」
わくわくしながらしばらく待っていると、私たちの順番が回ってきた。
「…ハートだ」
目の前の黄色いゴンドラを見て、思わず声にする。
30個近くあるゴンドラの中に、たった1つしかない唯一のハート型。
そんな貴重なものが私たちに…!
なんだかついテンションが上がってしまい、自然と口角も上がる。
だがそれは私だけではなく、ふと隣を見れば逢坂くんや三枝くんにも小学生のようなまばゆい笑顔が灯っていた。