女性が丁寧に話してくれたのは、持ち物の説明と、このお化け屋敷の世界観を醸し出すであろうお祈り。
この一言があるとないとでは、入ったときに何かがあるんじゃないかという恐怖が、より倍増するような気がする。
だってほら、逢坂くんの足がまた震えている。
「…よし、行こうか」
前を見据えて、息をゴクリと飲む。
そして、入り口の扉をゆっくりと開けた。
一歩一歩と進むたび、何かが出るんじゃないかとまた恐怖が大きくなってゆく。
隣の逢坂くんは、私より一歩前に出て、ライトを照らしてくれている。
きっと怖いはずなのに私をちゃんとエスコートしてくれる逢坂くんは、本当に優しくて紳士のよう。
彼がモテる理由も、なんだか分かる気がした。