咲桜と、隙間なく密着すればはみでることもない。


言うと、咲桜は真っ赤になってから口をパクパクさせた。


「ど、どうぞ……」
 

拒否はしなかった。


咲桜を自分の方に向かせて向かい合うようにして、抱きしめられた。


「あの……」


「うん?」


「その……ごめんなさい。まだ、止まらなくて……」

 
少しは収まったとはいえ、未だに泣いている咲桜。


「気にするな。……泣くほど淋しい思いさせたのは俺だ。収まるまでこうしていていいか?」
 

咲桜の心を大事にしてくれる。


だから傍にいて、安心する。居心地がいい。


「……お願いします」


「ん」
 

髪を撫でられて、咲桜の中に安堵感は強くなる。……ずっと、こうして――


「在義さん、式には?」


「今日もお仕事。大丈夫だよ? 夜々さんいてくれるし、いつもこうだし」
 

あ、でも、と咲桜は思い出したように顔をあげた。