「ここまで美しくなる咲桜のこと、ずっと見ていたかったな」


「………だから勝手にいなくなった人が言うんじゃない」
 

じと目、復活。ほだされてなんかやらなかった。


……若干、ほんの少しだけ心音が爆破しそうになったのは隠せたはずだ! 自信はないけど!


「…………そんなこと言うなら一人でいなくならないでよ。せめて連絡ぐらいつかせてよ」
 

咲桜の言葉が泣き言めいてくる。


髪を撫でる手は止まらない。


「……不必要な二年じゃ、なかったって思うか?」


「………必要だったんでしょ? お互いがいない日常が」
 

咲桜が不貞腐れて言うと、今度は頭に手が乗った。


「前から物わかりのいい方だったけど……そこまでわかってくれてたのか?」


「……夜々さんに言われました。私が荒れているのを見かねて」


「………」
 

咲桜が荒れた理由を在義に問い詰められてシメられた流夜なので何も言えない。