「なに? もう女の子ってわかってるんだよね?」


「まだ秘密。女の子なのは確定してるわ。予定日は八月だから、もしかしたら咲桜ちゃんと同じになるかもしれないわね」


「うう……もう泣けてきた……。夜々さん、絶対に無理しちゃダメだからね。夜々さんも赤ちゃんも、元気でいてよ」


「うん、ありがとう。……でも淋しいわ。咲桜ちゃんもすぐお嫁にいっちゃうんだもの」
 

ふっと夜々子の顔に影が差したのを見止めた箏子は、そのまま咲桜へ視線を滑らせた。


自分との仲は――主に箏子の所為だが――ギスギスしてはいたが、娘と咲桜は姉妹のように仲良しだった。


夜々子は、在義の妻としての桃子もすきでいたから。
 

その夜々子からそんなことを言われたら、まさかこの娘、自分の結婚を――


「それはしょうがないよ。私は流夜くんと一緒にいたいんだもん。本当に、結婚とか出来なくてもいいから一緒にいたくてこの二年、頑張ったんだよ」
 

……邪推し過ぎた。この娘も、変われば変わるものだ。


在義と夜々子の愛情に応えるだけに生きていたみたいだったのに。